24歳の時に僕は故郷を離れる決心をした。 転勤で東京に行くことになったからだ。 東京に行くために電車に乗った。 京都経由で東京行きの新幹線に乗るため、幼い頃から遊んだ川にかかる赤く塗装された鉄橋を電車が渡った。 その時になぜか涙がとめどもなく流れてきた。 自分でも恥ずかしいと思うくらいだった。 周りに乗客がいなかったので、涙を拭うこともなくただただ咽び泣いていた。

東京に転勤が決まった時から、僕は丸の内のような大都会で仕事をしている夢を見ていたようだ。 電車が東京駅に着くとそれからの目的地は、その華やかな丸の内からどんどんと遠ざかって行った。 京浜東北線で20分も揺られていると街並みがどんどんと変わってきて、不安さえ感じた。 そして勤務地の駅に到着した。 その駅の床はその当時、木質でギシギシ音を立てていたように思う。 コンクリートでできた丸の内のビル群が、消えた。 「田舎者めが、東京のことを何も知らない大馬鹿者め」と自分を責めた。 振り返ってみるとその木造の駅舎と下町の人情が田舎者の僕にはちょうどあっていたのかも知れない。  

下町での仕事に少し馴染んできた頃、自分が故郷を離れることを決めたことを否定するかのように、故郷に対する愛着の念がなぜか込み上げてきた。 京浜東北線が近くを走るボロアパートに住んでいた僕は、その京浜東北線が走る陸橋の上に立って故郷の方向を見た。 故郷の方向に「夕焼け雲」が見えた。 なぜか今にも帰りたい感傷に浸った。 そんな自分の感傷を振り払うように、「帰りたいけど、帰れないんだ」僕は何度も何度も遠くの「夕焼け雲」に向かって心の中で叫んでいた。 

そんな想いを思い出しながら、「夕焼け雲」をギターで弾かせていただきました。

夕焼け雲」 親父演歌ギターあおてつ YouTube

よろしくお願いいたします。

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