学生の頃、京都駅前で友達と二人でアルバイトをした。 夏のビヤガーデン開催に向けて京都タワーの屋上でせっせと責任者の指示でテーブルや椅子を拭いたり並べたりいろんな準備作業をした。 まだビヤガーデンには早い時期で、京都タワーの屋上は風も強く肌寒い感じの日もあった。
そんな寒い日の仕事終わりに、友達と飲んで帰ろうと散策していたら、路地の一角で、のれんから背中ををはみ出して、肩を寄せ合って飲んで食って談笑しているお店があった。 味噌の焦げたなんとも言えない香りが僕らを誘った。 鉄板の周りには土手になった味噌があって、その土手の中にホルモンと味噌が融合してなんとも言えない食欲を誘う香りを放出していた。 その融合は絶品であった。
京都タワーでのアルバイトは、タワー1階入り口前でマイクロフォンを持ってお客の呼び込みとかして一生懸命頑張ったつもりであるが、しかし短命であった。 僕は学業を優先したためと今でも思っているが、責任者の方から「ベテランのアルバイトたちが戻ってきたので、就業日数の少ない君たちは首です」と告げられた。 その責任者の方とは、準備期間中に一緒に汗を流して働いたので、その言葉に少し残念な気持ちを感じた。
さて、そのような顛末で、その絶品の「どて焼き」のお店に行くことが無くなった。 また就職して関東に転勤してから40年以上経った。 しかし、今でもその「どて焼き」の味が忘れられない。
最近、たまたま近隣のスーパーで「どて焼き」をパックにして売っていたので、衝動的に思わず買った。 それは期待に反して美味かった。 西京味噌で味付けされているところが、僕が探し求めている味に近かったのだ。 嬉しくて家内には酒が進む言い訳(理由)にした。
今度は、機会があるなら「どて焼き」の本場であると思われる大阪のディープな新世界界隈などに行って、憧れの味を探し求めたいと思う。 その時には、ぜひ友達にも検証してもらいたいと望んでいる。
京都駅前の路地裏の「どて焼き」のお店が、今でも僕の想いの中では、どうしても「チャンチキおけさ」と重なるのです。
「チャンチキおけさ」 親父演歌ギターあおてつ YouTube
よろしくお願いいたします。